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MethodList.md

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z80oolong/appimage において使用される AppImage::Builder クラスのメソッド一覧

概要

Linuxbrew の拡張コマンドである brew appimage-build は、既にインストール済の Formula 名を引数に取り、引数として与えられた Formula によって導入されたアプリケーションを起動するための AppImage ファイルを生成する為のコマンドです。

ここで、既にインストールされた Formula 名を引数に brew appimage-build コマンドを起動した時、当該 Formula から AppImage ファイルを生成する為に必要となる各種設定及び処理を行う事を目的として、 brew appimage-build コマンドの -r, --load-file オプションに、これらの処理を行うクラスである AppImage::Builder クラスの派生クラスを記述した Ruby スクリプトファイルのパスを渡します。

本文書では、 brew appimage-build コマンドによって、 AppImage ファイルを生成する為に必要となる各種設定及び処理を記述するためのクラスの派生元となる AppImage::Builder クラスのインスタンスメソッドの一覧を示します。

なお、 AppImage::Builder クラス及び派生クラスのインスタンスは、その生成時に brew appimage-build の引数として渡された Formula クラスのインスタンスを、 AppImage::Builder クラス及び派生クラスのインスタンス変数の値として、そのインスタンスの内部に保持します。

そして、本文書に述べるインスタンスメソッド以外のメソッドについては、 Object クラスで定義されるメソッドを除き、 AppImage::Builder クラス及び派生クラスのインスタンスの内部に保持した Formula クラスのインスタンスにメソッドを移譲します。

即ち、 AppImage::Builder クラスのインスタンスは、本文書で述べるメソッドの他に、 AppImage::Builder#prefix, AppImage::Builder#opt_bin 等のメソッドを呼び出すことが出来、これらのメソッドは、 AppImage::Builder クラス及び派生クラスのインスタンスの内部に保持した Formula クラスのインスタンスメソッドを呼び出した結果の返り値を返します。

メソッド一覧

AppImage::Builder#appimage_name

brew appimage-build コマンドによって出力される AppImage ファイルのパッケージ名を返します。

brew appimage-build コマンドの実行時にオプション -o, --output が指定されない場合は、 brew appimage-build コマンドは、出力先の AppImage ファイルのファイル名を <AppImage::Builder#appimage_name の返値>-<AppImage::Builder#appimage_version の返り値>-<uname -m コマンド等で示されるアーキテクチャ名>.AppImage とします。

AppImage::Builder#appimage_version

brew appimage-build コマンドによって出力される AppImage ファイルのバージョン番号を返します。

brew appimage-build コマンドの実行時にオプション -o, --output が指定されない場合は、 brew appimage-build コマンドは、出力先の AppImage ファイルのファイル名を <AppImage::Builder#appimage_name の返値>-<AppImage::Builder#appimage_version の返り値>-<uname -m コマンド等で示されるアーキテクチャ名>.AppImage とします。

AppImage::Builder#exclude_list

brew appimage-build コマンドによって出力される AppImage ファイルへの同梱の除外対象とする動的ライブラリのリストを返します。返り値の形式は、除外対象とする動的ライブラリからディレクトリパスを除いたファイル名を表す文字列の配列として下さい。

AppImage::Builder#exclude_list メソッドによって返される動的ライブラリの除外対象リストは、 brew appimage-build コマンドの -g, --global-exclude 及び -c, --core-include オプションの影響を受けません。

AppImage::Builder#include_list

brew appimage-build コマンドによって出力される AppImage ファイルへの同梱対象とする動的ライブラリのリストを返します。返り値の形式は、同梱対象とする動的ライブラリからディレクトリパスを除いたファイル名を表す文字列の配列として下さい。

AppImage::Builder#include_list メソッドによって返される動的ライブラリの同梱対象リストは、 brew appimage-build コマンドの -g, --global-exclude 及び -c, --core-include オプションの影響を受けません。

AppImage::Builder#exec_path_list

brew appimage-build コマンドによって出力される AppImage ファイルへ同梱する実行ファイルのリストを返します。返り値の形式は、 AppImage ファイルへの同梱対象とするファイルの絶対パスを表す Pathname クラスのインスタンスのリストであることに留意する必要があります。

AppImage::Builder#exec_path_list の返り値には、生成された AppImage の実行によって起動されるアプリケーションの実行ファイルや、これらの起動等を補助するための実行ファイルのパスを列挙するようにして下さい。

AppImage::Builder#sign_key

brew appimage-build コマンドによって出力される AppImage ファイルに GPG2 に基づく電子署名を行う際に使用する公開鍵の user ID を返します。 GPG2 に基づく電子署名を行わない場合は空文字列を返します。

なお、返り値の形式は、前述の通り空文字列若しくは、 user ID を表す 16 進コードの文字列であることに留意する必要があります。

AppImage::Builder#sign_args

brew appimage-build コマンドによって出力される AppImage ファイルに GPG2 に基づく電子署名を行う際に、 brew appimage-build コマンドにおいて使用されるアプリケーション appimagetool の内部で起動される gpg コマンドに渡す残りの引数及びオプションを返します。

なお、返り値の形式は、 gpg コマンドに渡す各引数を表す文字列のリストであることに留意する必要があります。

AppImage::Builder#runtime_path

brew appimage-build コマンドによって出力される AppImage ファイルを生成する際に、 AppImage ファイルの先頭部分に組み込む為のランタイムコードであり、 AppImage ファイル内のアプリケーションを起動する為に使用する runtime-x86_64 若しくはそれに類するランタイムコードのバイナリファイルが置かれている絶対パスを返します。

返り値の形式は、ランタイムコードのバイナリファイルの絶対パスを表す Pathname クラスのインスタンスであることに留意する必要があります。

AppImage::Builder#extra_args

brew appimage-build コマンドによって出力される AppImage ファイルを生成する為に起動されるアプリケーションである appimagetool に渡す残りその他の引数及びオプションを返します。

なお、返り値の形式は、アプリケーション appimagetool に渡す各引数を表す文字列のリストであることに留意する必要があります。

AppImage::Builder#apprun

brew appimage-build コマンドによって出力される AppImage ファイルの実行時に最初に実行されるスクリプトファイルである AppRun の内容を文字列で返します。

即ち、 AppImage::Builder#apprun メソッドの返り値には、 AppImage ファイルの実行によって起動される各種アプリケーションの初期化等に必要となる処理が記述された AppRun スクリプトファイルの内容を文字列として返す必要があります。

AppImage::Builder#desktop(exec_path)

brew appimage-build コマンドによって出力される AppImage ファイルに同梱される実行ファイルに対応する *.desktop ファイルの内容を文字列で返します。

なお、 AppImage::Builder#desktop(exec_path) メソッドの引数 exec_path には、 AppImage ファイルに同梱される実行ファイルの絶対パスを表す Pathname クラスのインスタンスが渡されます。即ち、 AppImage::Builder#desktop(exec_path) メソッドの返り値には、引数 exec_path を起動する際に適切な設定が為された *.desktop の内容を文字列で返す必要があります。

AppImage::Builder#pre_build_appimage(appdir, verbose)

AppImage::Builder#pre_build_appimage(appdir, verbose) メソッドは、 AppImage ファイルに同梱する実行ファイルと動的ライブラリ及び初期化スクリプトファイル AppRun*.desktop ファイル等を作業用ディレクトリに配置した後、 AppImage ファイルを生成するアプリケーション appimagetool を実行する直前に呼ばれるメソッドです。

なお、 AppImage::Builder#desktop(appdir, verbose) メソッドの引数 appdir には、 AppImage ファイルに同梱するファイル群が格納された作業用ディレクトリの絶対パスを表す AppImage::AppDirPath クラスのインスタンスが渡されます。

ここで、 AppImage::AppDirPath クラスとは、 Pathname クラスの派生クラスであり、 Pathname クラスのインスタンスメソッドの他に以下のインスタンスメソッドが使用できます。 (なお、以下の AppImage::AppDirPath クラスのインスタンスメソッドの説明については、作業用ディレクトリの絶対パスを /path/to/AppDir と表記します。)

  • AppImage::AppDirPath#bin … 絶対パス /path/to/AppDir/usr/bin を表す Pathname クラスのインスタンスを返します。
  • AppImage::AppDirPath#lib … 絶対パス /path/to/AppDir/usr/lib を表す Pathname クラスのインスタンスを返します。
  • AppImage::AppDirPath#share … 絶対パス /path/to/AppDir/usr/share を表す Pathname クラスのインスタンスを返します。

また、引数 verbose には、 brew appimage-build コマンドに -v --verbose オプションが指定された時に true が渡されます。

AppImage::Builder#pre_build_appimage(appdir, verbose) メソッドでは、 AppImage ファイルの実行時に起動されるアプリケーションの設定等に必要となるファイル群を作業用ディレクトリ appdir へ配置する処理及び、 AppImage ファイルに設定するアイコンファイルの修正等、 AppImage ファイルの生成に必要な処理を記述する必要があります。

AppImage::Builder クラスの派生クラスの実例

以下に、 brew appimage-build コマンドによって使用される AppImage::Builder クラスの派生クラスの実例を示します。本文書では、疑似端末の多重化ソフトである tmux の AppImage ファイルを生成するための TmuxBuilder を示します。

  # AppImage::Builder クラスの派生クラスとして TmuxBuilder を定義。
  class TmuxBuilder < AppImage::Builder
    # TmuxBuilder#apprun メソッドで AppRun スクリプトの内容を返す。
    def apprun; <<~EOS
      #!/bin/sh
      #export APPDIR="/tmp/.mount-tmuxXXXXXX"
      if [ "x${APPDIR}" = "x" ]; then
        export APPDIR="$(dirname "$(readlink -f "${0}")")"
      fi
      export PATH="${APPDIR}/usr/bin/:${PATH:+:$PATH}"
      export LD_LIBRARY_PATH="${APPDIR}/usr/lib/:${LD_LIBRARY_PATH:+:$LD_LIBRARY_PATH}"
      export XDG_DATA_DIRS="${APPDIR}/usr/share/${XDG_DATA_DIRS:+:$XDG_DATA_DIRS}"
      export TERMINFO="${APPDIR}/usr/share/terminfo"
      unset ARGV0

      exec "tmux" "$@"
      EOS
    end

    # TmuxBuilder#exec_path_list メソッドで、作業用ディレクトリ /path/to/AppDir/usr/bin に
    # 配置する実行ファイルを Pathname クラスのインスタンスのリストの形式で返す。
    def exec_path_list
      # TmuxBuilder#opt_bin メソッドで、引数に渡された Formula クラスのインスタンスメソッド
      # Formula#opt_bin の返り値を得る。
      return [opt_bin/"tmux"]
    end

    # TmuxBuilder#pre_build_appimage メソッドで、 AppImage ファイルの生成直前の処理を行う。
    def pre_build_appimage(appdir, verbose)
      # ここでは、 ncurses の設定ファイルを /path/to/AppDir/usr/share 以下に配置する。
      system("cp -pRv #{Formula["z80oolong/tmux/[email protected]"].opt_share}/terminfo #{appdir}/usr/share")
    end

    def extra_args
      # brew appimage-build によって起動される appimagetool に渡す残りの引数及びオプションを指定する
      return ["--verbose"]
    end
  end